女性ホルモンのバランスと骨粗鬆症(骨粗しょう症)の関係とは

骨粗鬆症は、骨の密度が低下することによって、鬆(す)が入ったように骨の中がスカスカの状態になり、体の各部位の骨がもろくなって骨折しやすくなる病気のことです。

骨がもろくなるため、買物袋を持ち上げようとしたら腕の骨が折れたり、咳やくしゃみで肋骨が折れたり、まっすぐだった背中が弓のように曲がったりします。
骨粗鬆症が大きく問題になっているのは、これらの骨折によって寝たきりの原因になる事です。しりもちをついたら脊髄の骨が圧迫骨折をして歩行困難になってしまったり、足の付け根の大腿骨や体幹を支える背骨に対しても骨折に繋がってしまうのです。

骨粗鬆症はとても厄介な病気で、女性が男性に比べて数倍以上発生しやすいとされています。骨密度は女性の場合、18歳くらいでピークに達します。それから40歳代半ばまで一定を維持しますが、50歳前後から低下していきます。
加齢によって骨密度が低下するのは、カルシウムの吸収が悪くなったり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きが弱くなるなどの理由があります。また、若い頃よりも食事量や運動量が減るといった生活習慣の変化も関係しますが、女性ホルモンの分泌量減少も大きく関わっています。

 

エストロゲン減少が骨と大きく関わっています

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。このうち、エストロゲン(卵胞ホルモン)は、女性らしい体を作ったり、排卵をコントロールしたりするホルモンですが、骨の健康にも深くかかわっています。エストロゲンには、破骨細胞を減らして骨芽細胞を増やす働きがあります。また、食べ物や日光浴で体内に取り入れたビタミンDを、カルシウム吸収に欠かせない活性化ビタミンD3に変換させるのもエストロゲンの働きです。

 

人間の骨は、骨を溶かす破骨細胞(骨吸収)と新しい骨を作る骨芽細胞(骨形成)の働きによって、日々新陳代謝を繰り返しています。女性は閉経後、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急速に減少します。エストロゲンの分泌量が減ると骨吸収が異常に高まり、骨形成が追い付かなくなります。つまり、骨吸収によって溶けてしまった部分を新しい骨で埋めることが間に合わなくなり、スカスカの状態になってしまうのです。

閉経後の50代以降の女性に骨粗鬆症が多いのはそのためです。

 

女性ホルモンのバランスを整えて骨粗鬆症を予防

大豆イソフラボン

ご存知の方も多いと思いますが、年齢と共に減少するエストロゲンの代役としてエストロゲンと似た化学構造を持つ大豆に含まれる大豆イソフラボンがあります。植物エストロゲンとも呼ばれ、女性ホルモンのような作用をします。

イソフラボンは、主に大豆の胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種です。フラボノイドとは、植物に広く含まれるポリフェノール成分の一つで、イソフラボンの他には、カテキン、アントシアニン、ケルセチン、ルチンなどがフラボノイドと言われる成分です。

また、大豆イソフラボンの働きとして、エストロゲンを補う作用と、エストロゲンの分泌量を抑える作用の両方があることが分かっています。

更年期障害や閉経後の骨粗しょう症など、エストロゲンの低下による病気では、大豆イソフラボンが不足しているエストロゲンを補います。

逆に、過剰のエストロゲンを原因とする病気では、大豆イソフラボンがエストロゲンの分泌量を抑えるため、病状の改善が期待できます。イソフラボンには、エストロゲンの過不足を調整する効果、つまりバランスを整える力があります。

 

マカ

イソフラボンと同じく女性ホルモンのバランス調節をする働きを持つのがマカです。

マカはペルー原産のキャベツや白菜などと同じアブラナ科の野菜で、栄養バランスのすばらしさからスーパーフードとしても注目されています。

そんなマカのバランス調節の働きを持つ成分が「二次代謝産物」と呼ばれる成分で、紫外線や厳しい自然環境など過酷な環境で身を守るために生成する成分です。昔から薬効成分として多くの医薬品が開発されています。

マカに含まれる二次代謝産物にはmacamides(マカミド)、グルコシノレート類、イソチオシアネート類、アルカロイド類、不飽和脂肪酸誘導体であるmacaene(マカエン)などが含まれており、これらにホルモンバランスを調節する効果があります。

しかしながら、どのマカでも同じ効果は見込めず、産地によってこの成分の種類と量は大きく異なります。

原産国ペルーの標高4000mの高地で、強い紫外線、激しい寒暖差、強い風で、大きなストレスを与えられながら育ちます。この過酷な環境こそが、植物が持っている力を強くし、マカの有効成分である二次代謝産物が増える最適な環境になるのです。

マカのサプリを選ぶ際には、ぜひ産地に注意してお選び下さい。

 

日常で出来る骨粗鬆症予防

食生活

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素を積極的に摂ることが大切です。 カルシウムとビタミンDは同時に摂ることで、カルシウム吸収率がよくなるのでなるべく併せて摂る事がおすすめです。

・カルシウム

牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品など

・ビタミンD

サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレイ、シイタケ、キクラゲ、卵など

・ビタミンK

納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなど

スナック菓子、インスタント食品の頻繁な摂取、アルコールの多飲、カフェインを多く含むコーヒーの多飲、タバコは控える様にしましょう。

 

日光浴を浴びる

カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで体内でもつくられます。

夏の直射日光を長時間浴びることはダメージにつながりますが、適度な日光浴は骨の健康に役立ちます。冬であれば30分~1時間程度散歩に出かけたり、夏であれば暑さを避けて木陰で30分程度過ごすだけでも十分です。 屋内で過ごす時間が長い高齢者や、美容のために過度な紫外線対策を行っている人では、ビタミンD不足が心配されます。運動をかねて積極的に外出する機会をつくって、上手に紫外線と付き合っていきましょう。

 

適度な運動

骨は負荷がかかるほど骨をつくる細胞が活発になり、強くなる性質があります。

散歩を日課にしたり、階段の上り下りを取り入れるなど、日常生活のなかで適度な運動も心がけましょう。

ご自身の体の状態にあわせて無理なく続けることが大切ですが、骨粗鬆症の治療中の方や痛みがある方は、お医者さんに相談して取り組んで下さい。

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