『マカ』と聞くとどんなイメージをお持ちですか?
ちょっと前までは男性の精力剤のようなイメージで広がりましたが、最近では妊娠を希望する方や、更年期障害で悩む方など、女性の中でも急速に広まっています。
ここでは「マカってなに?」という方から、「マカの事をもっと知りたい!」という方のために、マカについてまとめました。
マカってなに?
マカ(学名: Lepidium meyenii Walp )は南米ペルーのアンデス山脈の高地で育つアブラナ科の植物で、カブや大根などと同じ仲間のお野菜です。
マカは『完全食』とも言われるほど大量のアミノ酸や鉄分、カルシウムをはじめとするミネラル類を豊富に含んでいます。
高地でも育つ事から現地に住む人々の貴重な栄養源であると同時に、様々な体の症状の回復に良いハーブと言われ、古くから薬を代用する高機能栄養食品として愛されています。
現地以外の人がマカを知ったのは15世紀頃の大航海時代です。スペインの軍隊がペルーへ進行し、アンデス山脈の高地を訪れた際、連れてきた馬が高地に順応できず、繁殖もできなくなった事に頭を悩ませていた所、現地住民が「マカの葉を馬に与えてみてはどうか?」と提案し、実際に食べさせてみた所、馬が元気になり、繁殖にも成功したという記録が残っています。
また、当時のスペイン人の記録の中にはマカを食べる習慣のあるアンデスの人々について、「背の高い成人が多く、子供の数も多い」とあり、その要因もマカにあると考えられています。
そこからマカは世界中に広がり、今では男性の精力や、女性のホルモンバランスを整えるハーブとして知られています。
マカが育つのは標高4,000mを超える厳しい土地
マカが育つのはペルーのアンデス山脈の高地、標高4,000mを超える非常に厳しい場所です。
日本の一番高い場所は富士山の山頂で、標高は3,776mですので、マカは富士山の山頂よりももっと高い場所で育っているという事になります。
自然環境も非常に厳しく、昼と夜の寒暖差は30度もあり、慣れない人が現地に行くと高山病で動けなくなります。空気が薄い事から紫外線も非常に強く、背の高い植物が生息できない森林限界です。
実はこの厳しい環境こそが、完全食であるマカを生み出している最大の要因であるという事が近年の研究で明らかになりました。
強い紫外線がマカの薬効成分を作りだす
マカには二次代謝産物と呼ばれる薬効成分が豊富に含まれており、この成分が人間の身体に作用して、男性の精力活性や、女性のホルモンバランスを整えていると考えられています。
二次代謝産物が作られる仕組みをひも解いていくと、マカが育つ環境にある強い紫外線によって、豊富な二次代謝産物が作られているという事が分かりました。
長時間紫外線にあたると皮膚や目にダメージを受けてしまうように、植物とっても過度な紫外線は良いものではありません。
この紫外線から自らの身を守るためにマカの中で作られる成分が薬効成分となるのです。
目に良いと言われるブルーベリーでも同じような事象が報告されています。
ブルーベリーは北欧産のものが最も良いと言われ、他の産地のものと比べて有効成分の量が数倍も違うそうです。
その理由は北欧独特の自然環境である「白夜」です。
一日中太陽が沈まない「白夜」は逆に言うと一日中太陽の紫外線が大地に届いている事を意味します。
そのため、北欧のブルーベリーは紫外線から身を守るために有効成分を作りだす事から、他の産地のものより有効成分の含有量が多いのです。
マカに薬効成分が豊富に含有されているのは、強い紫外線が関係していると考えられています。
厳しい環境だからこそ、豊富な栄養を蓄える
マカが育つ環境は、昼夜の寒暖差が30度もあり、酸素も薄く、雨季と乾季があり、天候も非常に不安定な場所です。
この厳しい環境だからこそ、マカはしっかりと大地に根を張り、しっかりと大地の栄養を蓄えます。
例えばトマトでも、十分に水を与えたトマトよりも、水や肥料を制限したトマトの方が糖度が上がり、甘くなると言われますが、マカも同じように厳しい環境だからこそ、生きるためにしっかりと栄養を吸収して育つのです。
マカの栽培地では、収穫した後の土地は枯れ切ってしまうため、その後は数年間寝かしておかないと次の栽培ができないと言われるほど、マカは大地の栄養を吸収します。
マカの栽培
マカの栽培に最も適していると言われるのがペルーの中でもフニン県のボンボン高原という場所で、ここはアンデス山脈の高地、標高4,000m~5,000mの場所です。
マカの種は米粒よりも小さく、種まきをする際にはうまく風に乗せて、広い範囲に飛ばすように蒔いて行きます。
※マカの種まきの様子
※袋に入ったマカの種
※手のひらに乗せたマカの種
また、この地域は雨季と乾季があり、種まきは雨季の直前の10~11月に行われます。昼夜30度の温度差や、強烈な紫外線など、非常に厳しい環境ですが、この環境のおかげで害虫は発生しにくく、有機栽培には適している環境と言えます。
翌年の6~7月頃には実も大きくなり収穫の時期となります。
前述のとおり、収穫後は土が枯れてしまう事から同じ場所で何度も栽培を行っていくと実も小さく、栄養価の低いものしかとれなくなってしまいます。
収穫されたマカはそのまま食べられる事はほとんどなく、まずは乾燥させられます。乾燥の方法は天日干しとビニールハウスでの乾燥の2種類がありますが、天日干しの方が時間も手間はかかりますが、水分を多く飛ばす事ができ、栄養価も高いと言われています。
一方、ビニールハウスでの乾燥はすぐに乾くものの、水分が天日干しよりも残ってしまい、栄養価も若干落ちてしまうと言われています。
※天日干しで乾燥するマカ
マカはペルーの宝
マカは昔から貴重な食べ物として重宝されており、インカ帝国の時代には特権階級の人々しか食べる事ができませんでしたし、戦果をあげた兵士への報償として与えられたという記録もあります。
現在でも、マカはペルーの貴重な資源となっており、マカそのものやマカの種をペルー国外に持ち出す事は禁止されています。
国外に持ち出す場合はマカを乾燥させ、パウダー状にする必要があるため、現在、日本で流通しているペルー産マカは現地でパウダー加工されたものです。
マカの効果、効能とは?
豊富な栄養と薬効成分が凝縮されたマカですが、実際の効果、効能を一言で言うと「人間本来の力を取り戻してくれる」という事で、具体的に一例を書くと以下のようなものです。
- ホルモン分泌を正常化させる
- 疲労回復・ストレス解消
- 生理不順、生理痛、月経困難症の解消
- 集中力と記憶力の向上
- 腰痛、肩こりの緩和
- 滋養強壮、精力増進
これらの症状はストレスや不規則な生活リズム、偏った食生活などによってホルモンバランスが乱れて引き起こされる症状で、マカはこのような症状に効果があると言われています。
マカが女性のホルモンバランスという事はヤマノと中村学園大学との共同研究により、科学的に証明され、研究論文も世界的な学術誌に掲載されています。
マカは南米ペルー、アンデス山脈の厳しい環境で育つ根菜で、ホルモンバランスを整え、人間本来の状態を取り戻してくれるスーパーフードです。
妊活中のご夫婦、なかなか疲れがとれない方、目覚めるのが苦手な方、冷え性、更年期の方、様々なお悩みにマカは効果が期待できます。