女性の社会進出が進む一方、晩婚化や少子化といった問題も重要視されるようになってきました。特に、少子化や高齢出産は、今後さらに深刻化すると考えられています。このような背景もあり、厚生労働省は2007年4月に策定した「新健康フロンティア戦略」の中で「女性の健康力」をひとつの柱として、毎年3月1日~8日までを「女性の健康週間」と定め、女性の健康づくりを国民運動として展開するよう、各自治体に呼びかけています。
女性がみずからの健康に目を向け、健康づくりを実践できるよう、各自治体や団体が下記のような支援を行っています。
東京都:子宮頸がん検診受診を促すポスターの作成や都庁での普及啓発グッズの配布
武蔵野市:市内在住の20~50代の女性を対象とした、腹筋インナーマッスル強化のためのウォーキング講座
三鷹市:骨粗しょう症検診来所者を対象に、自己触診法の説明やパネル展・DVD放映の実施
大阪府東大阪市:子育て世代の女性に対する、乳がんや骨粗しょう症などの予防啓発の講話
大阪府枚方市:市民を対象に、女性理学療法士・保健師による女性のための「ぷよぷよ引き締め教室」の開催
青森県三八地域:思春期から更年期までの女性を対象とした、電話での心身の健康に関する相談
日本産科婦人科学会:健康ケアのスペシャルセミナーの開催
ここで挙げた例のように、一口に健康といっても取り組むべきものはたくさんあります。単純に病気の早期発見や予防だけではなく、健康な体づくりのための運動や女性特有の心の悩みなど、いろいろ思い当たりますよね?
しかし、国や自治体がこのようなサポートをしていることは、あまり知られていません。また、ほとんどの女性はこれらの活動に積極的に参加することもなく、日々の家事や育児、仕事に追われ、自分の健康を犠牲にして生活を送っているのではないでしょうか。
そこで、普段の生活がどれだけ自分の健康を害しているのか、生活習慣をチェックしてみましょう。女性が健康になることは妊娠力アップにもつながりますので、妊活中の方もぜひチェックしてみてください。
健康度チェック1 毎日、適度な運動をしていますか?
健康のために大切な要素の1つ目は、適度な運動です。まずは日常生活の中で行っている運動について、設問にはすべて○か×で答えてください。
■適度な運動 ○×チェック
・日常生活では、なるべく階段を使用している
・同世代と比較して、歩くスピードが速い
・運動を行う頻度は週に1回以上である
・有酸素運動と全身運動を組み合わせて行っている
健康を維持するためには、運動習慣を身に付けることが大切です。
厚生労働省のアクティブガイド(身体活動指針)によると、今よりも10分多く体を動かすだけで、健康寿命を延ばすことができるとしています。具体的には、18~64歳は1日60分、65歳以上は1日40分、体を動かすことを推奨しています。この時間は、日常生活で体を動かしている時間の合計となっていますが、筋力トレーニングやスポーツなどが含まれると、なお効果的とのことです。
上のチェック項目で×が多い人は、普段、エレベーターやエスカレーターを利用する場面で階段を使用する、時間のある日は1駅分歩くなど、ちょっと意識するだけでも健康寿命を延ばすことができます。ウォーキングなどの習慣がある人は、少しスピードを上げて歩いたり、設定した目標歩数を達成したりすることで、さらなる体力アップを目指しましょう。
日常生活の中でもこのように体を動かすことはできますが、さらなる筋力アップのためにトレーニングやスポーツを追加することもおすすめです。なお、ウォーキングやサイクリング、ジョギングなどの有酸素運動だけで筋力アップは難しいので、週に1、2回程度、自宅でできるダンベル運動を行ったり、地域の体育館やトレーニングジムを利用したりするようにしましょう。
健康度チェック2 しっかり睡眠を取っていますか?
良い睡眠を取ることも健康に直結しています。やはり○か×で設問に答えてください。
■良質な睡眠 ○×チェック
・睡眠時間は1日6時間以上である
・就寝前の1時間はテレビやPC、スマホをいじらない
・起きる時間は毎日一定である
日本人(成人)の睡眠時間は、6~8時間が標準的と考えられています。季節や年齢によっても変化しますが、日中に眠気を感じてしまう場合は、睡眠不足であるといえるでしょう。睡眠時間と生活習慣病・うつ病などは関係があるともいわれています。不必要に長く眠ることはありませんが、一定時間は睡眠を取るようにしたいものです。
また、就寝前にリラックスすることは入眠効果を高め、質の良い眠りを促してくれます。就寝前にテレビやPC、スマホを見ると、交感神経の働きが高まり緊張状態に陥ってしまいます。ぐっすり眠って疲れを取るためには、就寝前はなるべくリラックスできる環境を作るようにしましょう。同様の理由で、就寝前の飲酒や喫煙、カフェイン摂取も控える必要があります。アルコールは入眠を早くする効果がありますが、睡眠の質が低下しますし、タバコに含まれるニコチンや飲料に含まれるカフェインには強い覚醒作用があるため、やはり良い睡眠には悪影響があります。
睡眠には体内リズムを整える役割もあります。起床直後に太陽の光を浴びることで体内時計はリセットされます。また、体内リズムを整えるために、起床時間はある程度一定に保つようにしましょう。そうすることで、スムーズに眠りにつけるようになります。
健康度チェック3 美への意識を忘れていませんか?
適度な運動と良い睡眠は女性限定のキーワードではありませんが、3つ目の「美への意識」については女性に向けた設問といっても過言ではありません。こちらも○と×で答えてください。
■美への意識 ○×チェック
・ダイエットはおもに食事制限で行っている
・便秘の場合にはすぐに下剤を飲むようにしている
・ダイエットとリバウンドを繰り返している
女性が美への意識を持つのは当然のことですよね。しかし、美への意識が強くなるあまりに、健康を害してしまってはいけません。今回のチェック項目は○が多くあてはまる人ほど要注意!
特に若い世代にいえることですが、ダイエットのために食事を抜く、お米やお肉を食べないといった、過度な食事制限を行う人がいます。体重は減っているので、ダイエットに成功しているように見えるかもしれませんが、日々の食事は体を作るための大切な栄養を摂取するものです。偏った食事を続けていると、筋肉量や体内の機能が低下してしまいます。ホルモンバランスが崩れ、それが生理不順や肌荒れ、体調不良といった形で表れることもあるでしょう。
また、女性に多い便秘の悩みも、安易に薬に頼らないようにしましょう。女性の便秘は、腹筋の筋力不足や、食物繊維・水分などの不足が原因のこともあります。出ないからといってすぐに下剤を服用するのではなく、筋トレ、軽い運動、食事内容の改善からもアプローチするようにしましょう。
今回は簡単な○×チェックでしたが、いずれも女性の健康のために重要なポイントです。健康は毎日の習慣や食事から作られていくものですから、日々の生活を見直し、女性らしく健康な体を目指してください。