思春期になり、ある日突然やってくる生理。
初めての生理は、自分も大人の仲間入りをしたような気がしてうれしさ半分、不安半分といった気持ちになりますよね。
生理痛など、気が重くなることもありますが、特に悩みもなく月に一度訪れるものだと思っている女性も多いでしょう。しかし、自分では意識していませんが、毎月の生理を迎えるために、体の中では日々、さまざまな変化が起こっているのです。
生理の正しい周期は28日とされていますが、この周期がきちんと定まっていない「生理不順」に悩む女性は多く、現代女性にとって身近なトラブルであると考えられます。
生理に関する悩みを持っていながら、病院や専門機関で受診しない女性も多くなっています。生理不順の原因はちょっとした疲れやストレスの場合もあれば、無排卵月経などの病気が潜んでいることも…。
いざ、子供がほしいと思ったときに、スムーズに妊活を進められるためにも、早いうちに自身の体と向き合ってみるといいでしょう。
生理とは?まずは基本的な知識を復習しましょう
生理は月経とも呼ばれるもので、女性の体が妊娠するための準備を行い、妊娠しなかった場合は赤ちゃんを体内で育てるために蓄えた物を体の外へ排出するしくみです。生理の際に出る血は、通常の血液とは違い、子宮の中に作られた内膜がはがれて血液といっしょになったもので、「経血」と呼ばれます。
基本的に、経血は1週間程度続くといわれています。個人差がありますので、3日で終わってしまう人もいれば、10日以上続く人も…。「あまりに長く続く」「いつもより期間が長い」「一度終わったのにまた出てくる」という場合には、「不正出血」を起こしている可能性もあります。
多くの場合、2日目の出血量が多く、日が経つにつれて少なくなっていきます。自分の出血量や期間を把握しておくことで、何かトラブルがあった際にもすぐに気が付くことができます。そのためにも、毎回の生理期間はメモしておくようにしましょう。
女性なら必ず覚えておきたい生理周期
生理周期とは、「生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの日数」です。人によって差はありますが、だいたい25~38日周期の場合が多いようです。生理周期は4つに分けられ、それぞれ「月経期」「増殖期(卵胞期)」「排卵日」「分泌期(黄体期)」と名称がついています。
月経期
いわゆる生理期間です。黄体ホルモン・卵胞ホルモンの分泌が減少し、着床するために蓄えられていた子宮内膜がはがれ落ち、血液といっしょに体外へと排出されます。
増殖期
卵胞期とも呼ばれ、卵胞刺激ホルモンの働きによって卵巣にある原始卵胞のひとつが発育し始めます。卵胞が発育するにつれて卵胞ホルモンが分泌され、子宮内膜が少しずつ厚くなっていきます。
排卵期
排卵日の前後数日を指します。卵胞ホルモンの分泌がピークに達すると黄体化ホルモンが分泌され始め、卵胞から卵子が飛び出します(排卵)。卵子の寿命は12~36時間ほどとされ、この期間内に精子と結合しないと妊娠することができません。
分泌期
黄体期とも呼ばれる期間です。卵子が飛び出したあとの卵胞が、黄体という組織になって黄体ホルモンを分泌。受精卵が着床しやすい環境を作るために、子宮内膜を柔らかくしています。
初潮から閉経まで…気になるときは専門医へ
「初潮」は思春期になり、体が大人の女性へと変化していく合図であり、生理の始まりです。一方、「閉経」とは、生理の終わりのことです。WHO(世界保健機関)では、「卵巣における卵胞の消失による永久的な月経の停止」と定義されていて、医学的には40歳を過ぎ、1年以上月経がない状態が継続した場合には、最後の生理をもって閉経年齢と判断します。
閉経年齢は平均して50歳前後ですが、個人差があり、早い人では40歳で閉経を迎える場合もあります。反対に55歳を過ぎて閉経を迎えることもありますが、60歳を超えても出血のある場合は「不正出血」であると考えられますので、検査が必要といわれています。
閉経に至るまでの経過も人それぞれですが、徐々に出血量が減少し月経周期が長くなっていく過少月経と呼ばれるタイプが多いようです。そのほかに、月経以外の出血があったり生理が8日以上続いたりして、出血量が増える過多月経と呼ばれるタイプ、それまでは通常どおりだったのが、ある日を境に突然月経が来なくなるタイプなどがあります。
若くして閉経する女性は約1%!
40歳未満であっても、卵巣機能が低下したことで無月経となる場合があります。それは「早期卵巣不全(POF)」と呼ばれるもので、40歳未満で卵巣内の卵胞がほとんど消失し自然閉経を迎える「早発閉経」と、卵巣内にまだ卵胞が存在しているにもかかわらず脳下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモン・ゴナドトロピンに対する反応が低下し、無排卵・無月経となる「ゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群」の2つがあります。
卵巣内に卵胞が存在しているかは、ホルモン検査で調べることが可能です。妊娠を希望されている場合には、ホルモン療法などで卵巣のゴナドトロピンに対する反応性を高めて、排卵誘発を行うことになります。
生理に関する心と体の症状
生理は、子宮内膜がはがれ落ちて子宮内で出血するのですから、やはり苦痛を伴います。生理期間におなかや腰が痛くなったり、気分がすぐれなかったりするのは、生理痛の症状のひとつです。痛み止めなどを飲んでも仕事や日常生活に支障をきたしてしまう場合は、「月経困難症」の可能性もあります。
また、生理前に気持ちが沈んだり、頭痛やめまい、吐き気などの症状が現れたりする「月経前症候群(PMS)」に悩まされている女性も多いようです。さらに、特に心の症状が重く、日常生活に支障をきたしてしまうような場合には「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断され、医学的な治療が必要となってきます。
生理は月に1度、定期的にやって来るものですから、少しでも心や体の負担を減らして前向きに付き合っていきたいですよね。生理に関する症状で悩んでいる場合には、婦人科で相談してみることも大切です。
その際には、「どの時期に症状が発生するか」「症状が続く期間」「どのような支障をきたすか」といったことがわかるようにしておくとスムーズに診察が進みます。自分の症状を把握するためにも、生理について気になることをメモや日記の形で残しておくと良いでしょう。
心穏やかに生理を迎えるためには
生理のつらい症状に悩まされることなく、心穏やかに過ごすにはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。まず、生理中に絶対避けたいこととしては、以下のようなものが挙げられます。
- 性行為
- 疲労を伴うような激しい運動
- 過度な飲酒
生理中は、体を休めることが重要ですので、なるべくゆっくりと過ごすようにしましょう。
おなかや腰を温めるのはいいことですので、お風呂につかるのは問題ありません。ですが、雑菌などにデリケートになっていますので、銭湯やスパなどは避けて、清潔なお湯のお風呂にしましょう。それでも、長い時間湯船につかると負担になってしまいますから、15分程度で切り上げるのがおすすめです。また、激しい運動はNGですが、ストレッチやヨガなどの軽い運動はストレス発散にもなるので大丈夫です。
そのほかに、生理用品や衣類も、肌に優しい物を選ぶようにしましょう。そして、汚れたらこまめに替えることも重要です。肌はいつもより敏感になっているため、直接触れる物は「常に清潔を保つ」ように心掛けましょう。
生理は、長く付き合うことですから、きちんと理解した上で快適に過ごせるように工夫していきたいですよね。生理期間中はいつも以上に自分自身の体と向き合って、ストレスを軽減さましょう。